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安宅和人氏/「シン・ニホン」を10分でわかるよう要約してみる

こんにちは、しいらけいです。今回は安宅和人氏の最新著書
「シン・ニホン」についてのまとめです。

「安宅和人」というヤバい人の存在は知っていた。

東大からマッキンゼー、イェール大学からYahoo!へ。
慶應の教授でもあり、国に戦略アドバイスもするらしい。

10年前の著書「イシューからはじめよ」は、
名前だけなら誰しも聞いた事があるんじゃないか。

その安宅氏が、これまた凄い本を書いたという。

シン・二ホン。

どうやら、これからの未来と、そこでの日本&個人の戦い方が
見える
らしい。

今回の記事は、そんな「シン・二ホン」の各章概要を
まとめてみるというチャレンジである。

もちろん、本を買って読んだ上で。

400ページ超を10分弱で読めるように要約。

無謀なチャレンジかもしれない。
アイスバケツチャレンジ以上にサムい出来になる可能性もある。

でも、やるのだ。

あくまで、個人のフィルターを通した内容×ダイジェスト
だと思っていただければ。

それでは早速。

第一章:データ×AIが人類を再び解き放つ

第一章は、僕たちのすぐそこまで来ている未来がどのようなものか、
を実例交えて明確にしていく章である。

まず、時代は指数関数的に変わっていく。
各産業のAI化は進み、意思決定のスピードや質はケタ違いに上がる。

そこで重視されるべき働き方=知的生産のありかたは
どのようなものか?

たとえば、「顧客ともに歩んで」リアルタイムでデータを反映させ、
AIを育成していくことが戦い方の主流になっていく。

そこで重要なのが、顧客の心をつなぎとめるための
「未来=夢×技術×デザイン」という方程式。

確信的な技術やその実装だけではいけない。
「こんな世界を実現したい」というなくして
未来は作れないし、人は惹かれない。

いかに「目に見えない価値」を生みだせるか。
人が「いいな」と感じるものを、いかに先んじて知覚できるか。

今後、知性はますます大切になる。

第二章:第二の黒船にどう挑むか

第二章は、日本の成長をシビアに見つめなおすとともに、
これからの勝ち筋を探っていく章。

まず、GDPや一人当たり生産性で見ると日本の停滞が激しい。
各国が一気に生産性を伸ばす中で、日本だけが各産業で
15年あまり停滞している。

逆に言えば伸びしろがあるということでもあるが、
そのために「人材のリソース差是正」「人材レベルの底上げ」が必要。

■リソース差是正でいえば、マイノリティ人材の活用がカギ。

【正規⇔非正規、男⇔女、シニア⇔若手】の3軸で格差是正を考え、
いかに多様性を生かせるか。

■人材レベルでいえば、技術分野の人材育成がカギ。

現状を見ると大学のレベルも世界的には停滞、企業でも人材不足。
データ収集、利活用、・・・いずれも遅れをとっており、
黒船来訪を口をあけながら見ている状態に近しい。

悲観的に思える状況だが、かつての産業革命のケースを
フェーズ1~3に区切って捉えてみるとどうか。

日本の勝ち筋は、フェーズ2あるいは3
つまり「出口の変化」に対応すること。

確信的な技術が入口で広まった後に「あったらいいな」の妄想力を
フル活用。スクラップ&ビルドで一気に技術的実装や課題解決を
行っていくことが日本の勝ち方。

コンテンツが豊富(妄想が武器)で、モノづくりが得意
(出口の戦いが強い)な日本ならチャンスはまだまだある。

ただし、そのチャンスを逃さないために「AI-ready」状態になること、
つまりAIを活用するための土台をつくることが重要である。

第三章:求められる人材とスキル

二章で述べた「日本の勝ち筋」を実現するための重要課題は幾つかあるが、
そのうちの「人づくり」にフォーカスしたのが本章。

育てるべき人材、必要な人材は具体的に2軸ある。

一つ目は、この時代局面で価値を生み出せる人
二つ目は、AI‐readyな人

■一つ目の新しい価値を生み出すために必要なのは、

  • 異人=万能型ではなく、ある領域で尖っている人
  • 夢を描き、複数領域を掛け合わせられる人。
  • ヒトとしての魅力を備えるチャーミングな人。

といった人たちが挙げられる。

■二つ目のAI-readyについていえば、

「データ×AIの力を解き放てる人」。
具体的に求められる素養は日本語力、世界語(英語力)、
問題解決能力×データ/AIリテラシー。

また、データ×AIの力を解き放ったときに
本当に求められるのは「知性」である。

特に、外部状況から意味を理解する、意味を統合し
状況を判断するといった川上の知性=「知覚」が重要。

知覚を鍛えるためには、実際に手を動かし、
直接的な観察から示唆を得る習慣をつけること。

「覚える人」でなく「気付く人」になるための知的訓練がカギ。

第四章:「未来を創る人」をどう育てるか

第三章で述べたような人材を育成するために、
重要なポイントをまとめた章。

個人的には、無力感が最も高まるパートとなった。
この章を読むだけでも問題の根深さをガツンと味わうことになる。

まず、今後は「リテラシー層」「専門家層」「リーダー層」の3層の
育成が必要だが、それには15年ほどの時間がかかってしまう。

そこで、技術者とミドルマネジメント層を「スキル再生」させつつ
仕組みをつくり、海外人材の活用などで短期中期戦を凌ぐ必要がある。

その上で「未来を仕掛ける人」をどう育てていくか・・の
ビジョンが語られていく。

ポイントは6つ。

自分らしさ、価値を生みことへの理解、サイエンスへの理解、
デザイン視点、世界語(今は英語)、アントレプレナーシップの素養。

第五章:未来に賭けられる国に

5章では、日本のリソース配分についてがメインテーマ。

プロジェクト実施の観点、産学連携システムの観点、
そして資金投下の観点など様々な切り口で現状が理解できる。

米国とは産学連携の仕組みが根本的に違うことや
日本にカネが無いのではなく、『シニアと過去』に
使っている・・ということ。

かなり根本的な構造の問題が浮き彫りになっていく。

だが悲しむことなかれ、その「根深い問題」に
どう切り込んでいくべきか?
そしてそれは果たして難しいことなのか?

その答えも、「産学連携のエコシステムを作る」、あるいは
「未来のための原資を創り出す私案」という
触れ込みで言及されている。

忖度抜きにした意見が散りばめられている
大切なパートなので、詳しくは是非本書で読んで欲しい。

よ・・・要約が疲れてきた訳じゃないよ!

第六章:残すに値する未来

この本の締めとなるこの章は、未来に向けての戦い方だけでなく、
未来そのものにもより強くフォーカスしている。

まず、未来は予測可能度に応じて4段階に分けられる。
その予測不能な未来にむけて戦う場合はどうすればいいのか。

それは、「時間軸の遠近×前例の有無」に沿ってポートフォリオを組み、
不確実な未来に対して「何を仕掛けるか」を考えていくこと。

目先の利益だけでなく、中長期に‥、より未来に効くような
リソースの振り直し、打ち込みを行っていくこと。

最も強い戦略は、自ら未来を生み出すという事なのである。

・・・というところでは幕は閉じず、この章は考える対象を
「星」、つまり地球にまで広げている。

これまでのやり方を続ければ、そもそも地球がもたない。
その中で、人類全体視点での「SDGs×Society5.0」の交点こそを
見据えるべきである。

そこまで視点を広げた6章のラストトピックとして、
「風の谷を創る」構想という、安宅氏の
「ビジョン型課題解決」にバトンが渡る。

自然とテクノロジーを融合させた「未来の空間」への思想に潜るにつれ
「この人には何が見えているんだろう」という敬意のため息が出る。

で、章が終わる。

まとめ

・・・。

こんなん要約できるかい!!40点!!

備忘録?というか再刷り込みを兼ねて無理この記事をやり書き、
改めて分かった。

全然この本をまとめ切れていない。

わかってたけどね。途中で失速してしまうことも。

知力も体力も短期的には限界があるので、
この記事は修正と推敲を重ねて今後育てていくと思う(たぶん)。

締めとして、「シン・二ホン」のステキな点コワい点
書いて記事を締めたい。

この本のステキなところ

この本のステキなところは何か?そう聞かれたら僕はこう答える。

読者が置き去りにならないこと!と

いやお前、思いっきり置き去られているじゃん、
スマートに要約できてないじゃん…と思われるかもしれない。

ただ、要約は難しくても、この本は一貫して読みやすいのだ。

日本の人、社会、未来からはじまり、果ては星まで・・
とスコープを広げているのに。

勿論、WHATの部分は高度で難解な話をしているんだけど、
HOWの部分(どう伝えるか)の切り口はとても丁寧だ。

じゃあ、何故そのようなつくりになっているのか。
その秘密は5ページ目にして既に書いてあった。

大人もいれば、子を持つ親、学生、中高生もいる。
話す場ではそのどれかなのだが、これらをひとつなぎに
俯瞰したものをかけないか、という途方もない試みに
挑んだのがこの本だ。

シン・二ホン p5より抜粋

そうだった・・。

この本は子供が読むことも想定して書かれているんだった。

もしもこの本に子供の頃出会っていたのなら、
僕は今の道に、大した考えもなく進まなかったのかもしれない。

ちょっと寂しい気持ちにもなりつつ、

「視座は崩さない。でも読み手は置き去りにしない。」
スタンスには途中で何度も救われた。

「難しそうだし、最後まで読めないかも」なんて
不安に思う方は、安心していいと思う。

この本のコワいところ

じゃあ、この本のコワいところはどこか。

視点と繊細さによっては、読後にダメージを受けるかも知れない。

これだと思う。

イチ日本人として読むのであれば、希望が随所に見出せるため、
理解を深めるとともにポジティブな気持ちになれるだろう。

ただ、イチ社会人として読むのであれば、少々注意が必要かもしれない。

こと、4章。

どうしても僕は、未来を創る人の外側にいることを
自覚せざるを得なかったし、

そのためにどうすればいいのかは、正直今も明確になっていない。

そんなものすぐに明確になってたら世話ねーよ、という
話かもしれないけど。

咀嚼できていない部分だって沢山あるから、
もう少し僕はこの本を丁寧に読み返すと思う。

これからのキャリアをどう創っていくか。
自身を対象にした「ビジョン型課題解決」に
当分悩み続けることになる。

シン・二ホンに興味があればぜひ。後悔はしないと思います

今回はここまで。

もしよければ他の記事も楽しんでいってください。

Twitterともども引き続きよろしくお願いします。

ABOUT ME
しいらけい
パラキャリ志向で戦略的社畜。YouTubeでアニメ「ローガイ博士の社会学」を立ち上げました。一流企業に潜伏して、天才と呼ばれる人材を観察してます。